或る草の音

そこにある音楽 ここに置く音楽

新春

 

新春は私の住むあたりではまちが静まっておだやか。まだ身体がつらいが、熱がだいぶ落ち着いてきたので、庭の林(薮)に出た。落ちている蝋梅の花を拾おうと思って。

 

きつつきの音がする。樫の木をかなり不規則なリズムで強く叩いている。しゃがんで聞いているとだんだん近くに来て、蝋梅の木に移ってきた。こげらだと思う。すずめと変わらない大きさで、背中に何本も白い横筋が入っているように見える。蝋梅はそんなに叩かないで、すぐにとなりの楓の木やかぼすの木に移っていった。木を移るたびに、ぎー、ぎー、と、声を上げていた。

 

うぐいすが追いかけっこをしている様子。めじろの追い回しは珍しくないが、うぐいすはちょっと珍しいように思う。しゃがんでいる私の目の前まで飛んできて、さっと方向転換して別のほうへ飛んでいった。

 

梅の花をいくつか拾った。よく香る。さっきめじろが上のほうの花で蜜を吸っていた。たぶんめじろではなく、ひよなど別の鳥が花を落としていくのだ。でもそのおかげで花が手に入る。ありがたく拾っていく。

 

日が明るい。このおだやかさもあと一、二日。こういう身体具合でなければ出かけて初詣に回っていたことだろうけれど、かえってよかった気がする。せっかくだからこのあとは日に当たろうと思った。