瀧廉太郎のピアノ曲「憾」が作られてからまもなく120年。前回記事で、「憾」の最近の研究や演奏の動向について少し触れ、その中で自筆譜に基づく演奏の動画を紹介した。
前回記事:瀧廉太郎「憾」作曲から120年(1)〜最近の研究・演奏の動向をまじえて - 或る草の音
私は「憾」はこれからは自筆譜(1903年2月14日付の手稿譜)やそれに基づいた楽譜でもって解釈され演奏されるのがよいと考えている。ただ、過去の版の楽譜で長く弾き慣れた方にはその方がその楽譜とともに育んできた「憾」があり、それを自筆譜が見つかったからといって変えるのも難しい、それほどに音楽として熟していることもきっと多いだろうという気がする。「憾」はそれだけさまざまな方に強く印象を残し、受け入れられ、親しまれてきた楽曲だろうと思う。
それで、自筆譜に(全面的に)準拠しているわけではない演奏も含めて、ネット上で見つけた比較的最近の「憾」演奏動画を少しご紹介したい。
前回記事にも取り上げた喜多宏丞先生の、「憾」1903年稿単独での演奏動画。
瀧 廉太郎:憾(うらみ) pf. 喜多 宏丞:Kita, Kosuke - YouTube
前田勝則さんの演奏動画。全音版に基づく演奏だけれど一部、自筆譜に書かれている内容を取り入れてお弾きになっている。
憾(滝 廉太郎)Rentaro Taki - Regret - pianomaedaful - YouTube
小原孝さんの演奏動画。小原さんは「憾」の自筆譜をめぐる最近の動向をよくご存じでいらっしゃるご様子で、ただこの動画ではご自身がそれまで感じていた「憾」を表現なさっている。そのように、ご自身が大切になさってきた「憾」を弾いていくということも、音楽のなされ方のひとつだと思う。
ぱるさんの演奏動画。私のホームページを参考にしてくださったとのことで、ありがとうございます。お姿が瀧廉太郎の留学前の、元気だった頃の写真に少し似ていらっしゃるのも印象的でした。
瀧廉太郎作曲 《憾》 - Rentaro Taki Regret(urami) - YouTube
⭐︎ ほかにもどなたか私の過去記事を参考にしていただけているコンテンツ等をお持ちかもしれないですが、ブログ記事はいくつか存じ上げておりますが動画はまだあまり見つけられていません。著作権法的に問題があるような使い方でないかぎりは文句を言ったりはしませんので、おしらせくださるとうれしいです。
前回記事では私も「憾」をどこかスタジオのような場所で弾きたい旨のことを書いていたが、家で地道に弾いている。自分個人のことは記事をあらためて書くことにしようと思う。