…ものものしい記事タイトルだけれども。
瀧廉太郎のピアノ曲「憾」の自筆譜が2019年に大分県竹田市に寄贈されてから、公開展示されたり調査報告書が刊行されたりと、「憾」自筆譜の存在やその内容が広く知られる機会がいろいろと設けられている。
これからは、その「憾」自筆譜に関する研究や、自筆譜を参照した演奏がだんだんと多くなってくるのでは…と期待していたところ、先日(しばらく前になるけれど)、その「憾」自筆譜に直に当たって御研究をなさっている大分県立芸術文化短期大学の喜多宏丞先生から、論文の御紹介をいただいた。
瀧廉太郎《憾》の推敲過程 ―手稿譜の比較検証― 大分県立芸術文化短期大学リポジトリ
「憾」自筆譜(手稿譜)は草稿段階のものと完成稿とみられるものとあって、それらの手稿譜群を比較検討することで「憾」の作曲過程に迫ろうとなさっている。演奏家のお立場からとても丁寧な、そしてところどころ大胆な考察が進められていて、読み応えのある論文だった。「憾」に関心がおありの方にはぜひ御一読をおすすめしたいと思う。
なお御研究に際して私の過去記事を御参照くださったそうで、この場であつく御礼を申し上げます。
喜多先生は動画で御考察の実演もなさっている。動画として楽しく視聴できるので、実際の音で聴きたい方にはそちらの動画もおすすめしたい。
瀧廉太郎 最期のピアノ曲『憾』の作曲過程(クイズ形式で楽しく紹介!) - YouTube
竹田市から刊行されている「憾」自筆譜等に関する調査報告書で大分大学名誉教授の松本 正先生が執筆なさっている御考察とあわせて、「憾」に関する最新の研究動向として広く着目されてほしいと思う。
竹田市の調査報告書に関してのこのブログの過去記事↓
竹田市の瀧廉太郎関連資料調査報告書 - 或る草の音
以上、瀧廉太郎さんの誕生日が今日8月24日ということで、それにちなんでのご紹介まで。
私の音楽ホームページ『遠い遠い夢の世界…』内の、「憾」ページはこちら。「憾」自筆譜群が竹田市に寄贈されて公開されるよりも前に書いたものなので、いまでは内容が古くなっているけれど、その当時なりのことは書けたのではと思っている。御参考までに。↓
遠い遠い夢の世界... 瀧廉太郎「憾」の自筆譜をめぐって