或る草の音

そこにある音楽 ここに置く音楽

ストリートピアノの風景【2023年夏】 その3

 

この夏に福岡・佐賀の何か所かのパブリックピアノ(ストリートピアノ、駅ピアノ、ロビーピアノなど誰でもどうぞなピアノ)を私が訪ねて聴いて弾いたときの体験談シリーズその3。場所と日時の子細は伏せて、いくつかの場所のいくつかのときをまとめて載せている。

 

 

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ストリートピアノの風景 その場の音と人と出来事と【2023年夏】その1

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ストリートピアノの風景【2023年夏】その2

https://draume.hatenadiary.jp/entry/2023/10/12/003312

 

 

***

 

 とてもよく弾かれる最近の曲をお弾きになった方の後、次の方がいろんな曲をメドレーで演奏なさった。私がよく弾くよく知られたピアノ曲も演奏なさっていたが、ちょっと荒っぽいかなという印象を持った。そのメドレーの方が去った後、次の方がそのよく知られた曲を、思い出し思い出ししながらのご様子で、とつとつとお弾きになった。その方に大きな拍手が送られていた。

 

***

 

 お二人連れのお一人が懐かしい歌謡曲と有名なクラシック曲を演奏なさった。拍手をするとこちらへ来てくださった。クラシック曲があまりうまく弾けなかったとのことで恐縮なさっていたけれど、自分は歌謡曲が懐かしくて、聴けてうれしかったですとお話しした。

 

 別の場所で別の楽器をなさっていたところにお目にかかって知り合った方。今日もスタンダードナンバーの練習をなさっていた。その後少しお話しする。習い事を1つ増やしたとのこと。

 

 こどもさん2人をどうも親御さんでないおとなの方が引率なさっているご様子。こどもさんがピアノをいろいろ鳴らす。ねこふんじゃったが聞こえてきた。

 

 クラシックの難しい曲を最初お弾きになり、途中で断念なさって小曲をお弾きになった方。

 

 ピアノに触る方。ピアノを遠くから指差す方。

 

 自分がピアノを弾いた後、こどもさんがやってきて椅子に掛けてピアノを鳴らしていた。

 

***

 

 今日は弾く方が多い。最初に弾いてらっしゃった方がずっと残って、ときどきまたお弾きになる。ほかにも繰り返しの方がおられて、多いときは3人待ちになることもあった。

 

 歌を歌いながらピアノをお弾きになる方。とてもゆったりと。どこかの民俗音楽のように聞こえる。どこの音楽だろうと思いながら聴いていて、はっと気がついた。日本の童謡。しばらくのあいだ、ゆっくりと演奏なさっていた。

 演奏が終わって話し掛けた。最近お師匠様が亡くなったそう。何かできるだろうかと思ってここに来られてピアノをお弾きになっていたらしい。言葉に詰まったけれど、聴いた感想を申し上げた。その方と一緒に次の方々の演奏を聴いた。その方もときどきピアノに戻って、いろいろな曲を弾きながらゆったりとお歌いになっていた。

 

 さっきお弾きになっていた方が戻って来られて、さっきの曲をもう一度お弾きになった。

 

 繰り返しお弾きになっていた方の最後の演奏のとき、その後ろで、学生さんがその歌を歌って通り過ぎていった。

 

***

 

 ここのピアノは設置場所が水害に遭ってしばらくのあいだ弾けなくなっていた。場所が復旧した話を知ってピアノの様子を見に来た。ピアノは開放されていた。ただ、音がぶわぶわしていた。入ってきた水のためか、空調が止まっていたためなのか。たなばたさまを弾いた。遠くから歌声が聞こえた。

 

 ショパン夜想曲op.9-2を弾いていると、小さなこどもさんがやってきた。が、すぐにお父さんが抱きかかえて去って行った。私の邪魔になると思われたのかもしれないけれど、そうだとしたら残念だった。

 

 ピアノを弾く人がほかにいなかった。場を一度二度離れて、最後にもう一度ピアノの場所に戻ったら、こどもさんが弾いていた。その音を聴いてそこを後にした。

 

***

 

 以前ここのピアノの場で出会ってそれ以来ときどきお目にかかる、御自身ではピアノをお弾きにならない方。今日またお目にかかれて、お話をした。自然がお好きとのことで、旅先の山の旅館で朝方目覚めて、沈み行く月と昇る太陽を見たとおっしゃる。それで、ジョージ・ウィンストンのMoonを覚えている範囲で弾いた。月が出てきたとおっしゃってくださった。

 

 少し大きなこどもさんがピアノを弾く。次々と曲を弾いて、1曲終わるたびにまわりを見まわす感じ。次に弾く人を気にしているというのではどうもなさそう。しばらくして、親御さんらしき方がやってきた。こどもさんはさっとピアノから離れて親御さんと去って行った。

 

***

 

 スケールを少し弾く方。何かフレーズを作りながら弾いている感じのこどもさん。

 

 動画を撮影しながらお弾きになる方。曲を検索したら若い人たちに人気がありそうな楽曲だった。ときどきつっかえて、失敗したという感じでお立ち去りになった。しばらく経って、またおいでになった。同じ曲をお弾きになっていた。

 

 演奏中に待ち人が来て一緒に去った方。お連れの方に何かいろいろと弾いて聴かせていた方。

 

***

 

続く

ストリートピアノの風景【2023年夏】その4

https://draume.hatenadiary.jp/entry/2023/10/14/000610

 

ストリートピアノの風景【2023年夏】 その2

 

 

私が訪ねたパブリックピアノ(ストリートピアノ、駅ピアノ、ロビーピアノなどの誰でもどうぞなピアノ)の場でのピアノ聴き弾きと起きた出来事の体験記。場所と日時の詳細は今回も省略している。

一部の内容は先だってnoteに投稿したことがある。今回新たな話を追加し、わずかに修正をして、こちらに再掲載した。

 

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ストリートピアノの風景 その場の音と人と出来事と【2023年夏】 その1

https://draume.hatenadiary.jp/entry/2023/10/11/041017

 

 

***

 

 バッハの2声のインヴェンションみたいな感じの曲を手堅くお弾きになった方が立ち去った後、連れ立って来られた御年配の方がほかの方々に待ってもらって、童謡だったか映画の歌だったか、何か懐かしい感じの曲をとつとつとお弾きになっていた。

 

***

 

 このピアノの場所でよくお見かけする、お仕事帰りらしき方。いつものようにむかしの歌謡曲をお弾きになった後、有名なピアノ曲を途中まで弾いてお立ち去りになった。

 その後に来られた方はポップスをお弾きに。後ろで何人もの方々が立ち止まっていたけれど、それに気づいてはいらっしゃらなかったのではと思う。

 

 その次の方はクラシックの有名な曲の有名なアレンジなどを、続けて何曲かお弾きに。その途中、やってきた方がその方が弾いている横から声を掛けて、弾いている方がびっくりして声を上げた。どうもお知り合いの方のよう。しばらくピアノの手を止めて歓談なさっていた。声を掛けた方が去っていって、ピアノを弾いていた方がさらに少しピアノを弾き、その方もまたお立ち去りになった。自分はその後に少し弾いた。

 

 私の後に来られた方が、私の前に弾いてらっしゃった方と同じクラシックの曲をお弾きになった。お二方とも同じように手がきれいに動いてらっしゃって、でもそれぞれに違う質感で演奏なさっていた。

 

***

 

 月例イベントのストリートピアノ、この日はなかなか弾き始める人がいなかった。だいぶ時間が経って数人のこどもさんがやってきて、どなたかの親御さんらしき方を前に、弾ける曲をぱらぱらと弾いていた。その後で別のこどもさんが手際よい感じでブルース風の曲を少しだけ弾いて、周囲の方々から拍手をもらっていた。

 

 前回に私がアニメの曲を弾いたとき、出店のこどもさんがその曲が好きで自分でも練習していたらしく、後で弾いたのだった。恥ずかしいみたいで、ピアノの前に座ったもののなかなか手が動かせなかったのを、横で見守ってときどき手伝って、メロディーを完奏した。そのときのこどもさんも会場に来ていたので今日も弾くのだろうかなと思っていたけれど、この日はそのこどもさんは弾き出さなかった。

 

***

 

 建物に入るとクラシックのゆるやかな曲が聞こえた。たぶんこの前ここでこの曲をお弾きになっていた方だろう。自分はいつものようにピアノから少し離れた所で聴いた。楽譜を立てて丁寧に演奏なさっていた。

 

 その方が弾き終えると、若いお二人がピアノの前へやってきた。お一人がピアノ正面の椅子に、もうお一人が隣の椅子に腰掛ける。聞いてもらうのだろう。こうしたピアノの場で定番になっているポップスの曲を、手数が多いながらも細やかなタッチで、そのようにふだんから弾きこなしている感じで演奏なさった。

 その方に遠くから拍手を送りながら、お二人の方々がやってきた。こちらもお若い。弾いていたほうの方々が席を空けて、やってきた方々が入れ替わりでピアノに向かった。お一人がピアノの正面に、もうお一人が低音域のほうに腰掛け、正面の方がメロディーを弾いて低音の方がサポートする感じでワンフレーズを弾いた。そうしたら、いままでお弾きだった方が「○○!」と曲名を叫んで、弾いていたお二人にとてもうれしそうな声でお話し掛けになった。弾いていたお二人も声を掛けられたのが面白かった様子で、受け答えをなさっていたようだった。

 その後、残ったお二人が、曲の途中で止めたり弾くのをやめたりしながら何曲かをお弾きになった。正面の方が譜面台に置いたスマートフォンを見つめて、低音の方がちょうど同じような格好で、並んで連弾なさっているその様子を見ていると、そこにお二人が作る時間が流れているようだった。その時間がちょっととぎれとぎれながら、ひとつの音楽になって、ピアノの場のまわりへと流れ出ていたような気がする。聴きながらその場を失礼した。

 

***

 

 ピアノの場に到着して15分ほど待っていたら、お仕事帰りらしき方がピアノをお弾きになり始めた。有名なアニメ映画の曲。暗譜で、こつこつとした歩みで弾き進めていらした。

 その方がお立ち去りになった後に来られた方は、最近流行したテレビアニメの主題歌のポップスを、ゆっくりとしたバラード風なアレンジでお弾きになった。後ろで若い方々がちょっと立ち止まり、踊るようにしながら去って行かれた。

 その次の方はまわりを見回しながらピアノに近づいて、コピーらしき楽譜を立てて弾き始められた。素朴なメロディーを基本的な音型の低音伴奏で弾いていくアレンジ。なにか大切な曲をお弾きになっているような、上体の動きに心がこもっている感じの弾き方をなさっていた。

 それぞれの方々がお立ち去りになるときに小さく拍手をしてお送りした。最後の方は私を見て、はにかんで通り過ぎて行かれた。

 

 そのあと自分も弾いた。「ぽつぽつ即興」をひととき弾き、ショパン夜想曲op.62-2を弾いた。弾き終えると、後ろに立っておられた方が、カノンを弾いてくれませんかとリクエストくださった。いやカノンは練習をしていないんです…と申し訳なくお話しすると、いえいえすみませんでしたとおっしゃってお立ち去りになった。

 以前に別の場所でピアノを弾いていてカノンのリクエストをいただいたことがあり、そのときもお断りをしたのだが、そのときの方は最初、プロコル・ハルムの「青い影」をリクエストなさった。私がそのとき「青い影」がわからなくて、それで代わりにカノンをリクエストくださったようだった。「青い影」をあとで調べたら、よく耳にしていた曲だった。伴奏の感じがカノンに似ている。リクエストくださった方はどちらの曲もお好きでいらっしゃったのだろう。

 カノンと聞いて、そのときのことをぱっと思い出した。そのためか、カノンのメロディーを思い出そうとしても「青い影」しか出てこなかった。

 それで、代わりになるかどうかわからないけれど「青い影」を弾いた。そのあいだ、カノンをリクエストくださった方は少し離れた所で立ち止まっていらっしゃった。「青い影」を弾き終えた後でカノンの有名な箇所をなんとか思い出した。少し弾いてみたけれど、そちらはうまく弾けなかった。リクエストくださった方はもういらっしゃらなかった。

 

***

 

 この日は遅めの時間にピアノの場に着いた。さっそく、いま弾いてらっしゃる方の演奏を聴く。こうしたピアノの場でよく弾かれるポップスを、わりとゆっくりお弾きになっていた。ゆっくり弾くのも雰囲気があった。

 

 自分も弾いた。弾き終えてすぐ、真後ろに立ってらっしゃった方がこの曲は何と言う曲ですかとお尋ねになった。曲名を尋ねていただけるのはとてもうれしい。その方はギター弾き語りで路上に出てらっしゃるらしい。場所をうかがったが、路上演奏の場という認識が自分にはなかった場所だった。いろんな場所に路上演奏をなさっている方々がおいでなのだなと認識を新たにした。

 

 その後、ときどきお目にかかるポップスをお弾きになる方とお会いした。話をしていると、やはりこの場所でときどきお会いするピアノをお弾きにならない方が来られて、そのポップスピアノの方と再会を喜ぶ感じでお話しになられた。それぞれの共通の知り合いということで、そのこともおもしろくて話が弾んだ。ポップスの方も私もそれぞれに少しピアノを弾いて、その方に聴いていただいた。

 

 その後、ねこふんじゃったを途中からちょっと違う感じでお弾きになる方、先日声を掛けて話をした校歌をお弾きになる方が続いた。

 

***

 

(続く)

ストリートピアノの風景【2023年夏】その3

https://draume.hatenadiary.jp/entry/2023/10/13/000126

 

 

ストリートピアノの風景 その場の音と人と出来事と【2023年夏】 その1

 

 

 パブリックピアノ(いわゆるストリートピアノや駅ピアノ、ロビーのピアノなど誰でもどうぞのピアノ)が設置され公開されている場では、ピアノを弾く人、聴く人、通って行く人やその場所に居合わせる人たちのあいだでいろんなことが起きる。ピアノを弾く人もさまざま、弾く曲や弾き方もさまざま、起きる出来事もさまざま。前回記事にそうした話を少し書いた。

 

 私は自分が訪ねたピアノの場でいろんな方の音を聴きながら、ときどきメモを取っている。そのメモを読みながらそのときの現場のことを思い出して、そのさまざまな様子を書いてみたい。自分がそのピアノを弾いた話や出来事に関わった話も少しとりまぜる。

 場所や日時の詳細は伏せるけれど、2023年の夏(6月〜8月)の出来事。自分がこの時期に訪ねたピアノの場は福岡県の一部と佐賀県の一部の場所。いくつかの場所、いくつかの日時を1回の記事にまとめて、数回投稿しようと思う。また1回分だけ、生のメモに近いかたちで書いてみようと思っている。

 すべての方の演奏の様子を均等に取り上げているわけではないけれど、そのときのその場の様子の幅やバラエティがわかるように、いろいろな弾かれ方や出来事をなるべく取り上げて書くようにした。

 1つの場所の1つの日時を***でいちおう区切っている。でもどの場所でもけっこういろんなことが起きているのを読み取っていただけるのではと思う。当地のパブリックピアノの場の実際がいくらかでも伝わるならうれしい。

 

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***

 

 イベントで設置された臨時のストリートピアノ。なかなか弾く人がいない。しばらくしてイベントのコンサートに出演なさった方々がやってきて、その中からこどもさんがピアノに向かった。歓声が上がる。こどもさんは習っているらしき古典の曲をしっかり弾いて、また歓声を受けていた。

 

 こどもさんがピアノを弾きたそうに見えるのだが弾こうとしない。そのまま親御さんとともにピアノを後に去っていくのを見て、何と言ったか覚えていないが声を掛けて弾くのを勧めた。私が急いでよく知られた曲をピアノで弾いたら、戻ってきてくれた。ピアノを空けた。こどもさんはしばらくためらっていたけれど、やがてピアノに向かって、ゆっくり、こつこつとメロディーを弾き始めた。弾き終えて私のところへやってきた。家で鍵盤ハーモニカで練習しているらしい。もう1曲じっくりと弾いて、ほかのこどもさんと交代しながら何度かピアノに向かっていた。ひとしきり弾いた後、親御さんと帰っていった。

 

 こどもさんが元気よくメロディーを弾いたり、途中まで弾いたり。

 

 投稿動画をたくさん載せている若い方。演奏を始めると、まわりでくつろいでいた方々のあいだの雰囲気が、聴く雰囲気にさっと変わった。弾き終えた後に聴いていた方から話し掛けられたりもしていた。

 

 御年配の方が白鍵で独特の間合いで、少し懐かしい歌謡曲をお弾きになった。

 

***

 

 こどもさんがひとりでピアノを弾いていた。ここのピアノの場は時間貸し。こどもさんはテレビアニメの歌やこどもたちがよく知っている季節の歌を次々と弾いていた。次の時間枠で私がピアノを弾いているときもそのこどもさんが聴いてくれていた。あとで尋ねるとピアノを習っているそう。変顔をして見せてくれた。

 

***

 

 こどもさんが戦場のメリークリスマスを弾いた。拍手すると「間違えた」と照れくさそうに言って去っていった。

 

 親御さんがつきっきりで指導か何かするようにして、こどもさんが弾いていた。

 

 大きなこどもさんがエリーゼのためにと何か最近の曲を弾いて、後から来た親御さんと去っていった。

 

***

 

 親御さんが紡ぎ歌を弾くその両側で、こどもさんが音をがんがん鳴らしていた。

 

 おとなの方がトルコ行進曲を、ひさしぶりに弾いてみる感じでお弾きになった。通りかかった方がお知り合いだったようで、弾き終えてどなたかを待つ様子でその方とお話しになっていた。

 

 私が曲を弾き始めたらすぐに小さなこどもさんがお連れの方とやってきた。交代しようとしたけれど弾くのかどうかわからない様子だったので、代わらずにきらきらぼしを弾いた。それから音をいろいろ鳴らしてみせた。けっきょくこどもさんは鍵盤に触れなかった(と記憶している)けれど、私がピアノの低音部の鍵盤でここはまた別な音がするよと話をすると、こどもさんが、ドーンていう、と言って、知ってるの?とお連れの方が驚いていた。どこかでピアノに触れていたことがあるのかも。そして楽しそうに改札を通っていった。

 

***

 

 以前公園で楽器を演奏なさっていた方がこのごろここのピアノをお弾きになっている。今日もお目にかかった。親御様の介護の合間に出かけているそう。次の用事へと去って行かれた。

 

 お二人で渚のアデリーヌなどの有名な曲をお弾きになっているところへ、ほかの方がやってきて話し掛けておられた。その話し掛けた方が次にお弾きに。いろいろな曲を部分だけも含めてお弾きになった。最後にちょっと懐かしくなる曲をお弾きになったので、立ち去り際に話し掛けた。まだ弾けない、とお話しになって去って行かれた。

 

 腕の立つ方が聴き応えある演奏を繰り広げるその後ろで、以前ここのピアノでいろいろと音を鳴らして楽しんでおられた方が行き来しておられた。待っているような様子だったけれど、そのうちお姿が見えなくなった。

 

 

***

 

 ピアノの場所にやってきたものの、どなたも弾かない時間が続く。自分が弾いたら、その後すぐ、こどもさんがピアノを鳴らして行った。

 

***

 

 懐かしい歌謡曲をお弾きになった方にこどもさんを連れた方が拍手を送っていた。

 

 こどもさんが二人、おとなさんが二人、それぞれにピアノを鳴らして行った。

 

 御家族連れのこどもさんたちが続く。ただ鳴らすこどもさんも、曲を演奏するこどもさんも。一度ピアノを離れたこどもさんが、ほかのこどもさんたちが弾いた後にまた戻ってきてピアノを弾いていたりもした。

 

 自分が弾いていると、だいぶ酔った感じの方がご機嫌な様子でやってこられた。言葉がわからない。ピアノを鳴らしてもらう。鳴らしているうちにだんだんメロディーになってくる。ドドドソ、ドドド。そうしているうちに、電車が来たのかあわてて立ち上がって去って行かれた。

 

 こどもさんがピアノを鳴らす様子を親御さんが撮影。

 

 こどもさんがピアノの中音域、高音域、低音域をそれぞれ鳴らす。親御さんがやってきた。私がピアノを後にして歩いていると、ピアノの音でドレミの歌が聞こえてきた。

 

***

 

(続く)

ストリートピアノの風景その2

https://draume.hatenadiary.jp/entry/2023/10/12/003312

 

 

 

街角のピアノに踊る

★ いちどnoteに投稿した記事だけれど、パブリックピアノ・ストリートピアノの体験記的な記事はこちらのブログに載せようと思う。記事の日時はnoteへの投稿日時。

 

 さっきNHK BSの『街角ピアノ』を視聴した。駅や商店街など街に置かれて誰でもどうぞと開かれたピアノを、さまざまな方々が弾く様子を見せて聴かせてくれる番組。自分もそのようにして街のピアノ、ストリートピアノ(パブリックピアノ)を弾いたり聴いたりしているので、そうしたピアノの場での自分の体験と重ねるようにして、番組を視聴している。

 さっき『街角ピアノ』高松編の最後に登場なさった、高校生の方のピアノに合わせて後ろで踊る方を見ていて、自分がたびたび聴き弾きしている福岡天神のストリートピアノの場で出会った方々のお姿を次々と思い出した。
 自分がピアノを弾く後ろで踊ってくださった方々。ほんとうに踊ってくださった方が何人もいらした。
 たびたびそこのピアノの場でお目にかかって、そのたびにお話をして、私がピアノを弾くのを聴いてくださる方々。
 いまでもお目にかかる方もいらっしゃるけれど、いまはお見かけしなくなった方も。お見かけしなくなった方にもまたお目にかかれるだろうかと心のどこかで思いながら、そこのピアノを弾き、聴いてきた。

 いまもときどきお目にかかるある方は、まさに高松のその方のようにまわりの方々にピアノを弾くよう勧めてまわられる。そして弾く方がいらっしゃれば後ろで踊る。高松の方と同じように、盆踊りのように手を動かして立ち回って。ときには歌をお歌いになり始めそうなご機嫌で。
 ご自身も、紙にドレミで書いた楽譜を持っておいでで、その楽譜をピアノの譜面立てに置いてピアノをお弾きになる。童謡が多い。片手で、つまづきながら、でも黒鍵も取り混ぜて、メロディーをたどって元気よくお弾きになる。
 よくお話をなさる。このごろお目にかかったときにお話ししていた中で、ふと、明るく過ごしたいとおっしゃった。心がけて明るく振る舞ってらっしゃる面もおありなのだろう。
 またそのうちお会いできるだろう。

 街のピアノはさまざまな人が弾いていて、そこの場ではさまざまな出来事が起きる。
 これまでそうしたことを自分が体験したつど、ツイッターで書いてきたけれど、ツイッターは書いたことがどんどん流れていってしまって、以前書いたことを自分で取り出すのもなかなか難しい。ツイッターツイッターでつぶやいていくとして、これからそうしたピアノの場のことをここで書いてみようかと思う。

瀧廉太郎没後120年の命日に寄せて

 


瀧廉太郎は1903年の6月29日に亡くなったので、今年2023年6月29日は没後120年にあたる。

瀧の命日には毎年ゆかりの地のそれぞれで追悼行事や瀧廉太郎を偲ぶ音楽会などが開かれているようで、インターネットでその話題を見かける。今年も私の比較的近場だと大分市竹田市で催しが予定されている・いたようで、できれば私も訪ねて行きたかったけれど、残念ながら費用が作れなかった。

竹田市では来月にかけて、資料展が開かれている。そちらはなんとか行くことができないか、もう少し努力しようと思っている。

瀧廉太郎没後120年記念 廉太郎と大吉~憾の真実2~/竹田市

 

さて、さきごろ音楽之友社から出版された次の楽譜集に、瀧廉太郎のメヌエットと憾が収載されているのを店頭で見た。

日本の小品集 - 音楽之友社

あいにくまだ購入はしていず、内容の精査はしていないけれど、瀧の自筆譜を参照して校訂されているようだった。

今後、こうした自筆譜を参照した上での出版も続いていくのではと思う。最終稿の音楽内容がかなりはっきりしているので、校訂者・編集者による違いがあまり出にくいかもしれないが、それでもそれぞれの色は何かしら出てくるかもしれない。


日付が変わりそうなので今日はここまでで投稿したい。個人的な感慨みたいなことを、またあらためて書こうと思う。

パブリックピアノでグリーグ抒情小曲集を弾く

 

追記 2023年6月15日

下の記事を掲載した後、6月10日に最後まで残っていた第7集の「家路」をロビーピアノにて演奏し、抒情小曲集全曲を完奏した。

演奏させていただいた各所のパブリックピアノを設置運営してくださっている皆様、そしてピアノに、感謝しています。ありがとうございました。

下のリストは完奏後に追記したもの。

 

***

 

昨年2022年の6月15日から、パブリックピアノ(誰でも弾いていい公開ピアノ:ストリートピアノ、街角ピアノなど)でエドヴァルド・グリーグの抒情小曲集を少しずつ弾いている。今年2023年がグリーグの生誕180年で、グリーグさんの御誕生日6月15日に向けて自分個人でお祝いをしようと、その日のちょうど1年前に取り組み始めた。

 

いま自分はパブリックピアノを週に1度くらいのペースでどこかで聴き弾きしている。もともと自分がパブリックピアノを弾くときには抒情小曲集から1曲だったり数曲だったりを弾くことが多かった。いまはそうしながらその中で1曲ずつあらためて弾いていく感じで弾き進めている。できれば全曲完遂したいなと思っている。

 

パブリックピアノは私の近場や出かけていける範囲では、公共施設のロビーや商業施設の空きスペース、駅のコンコースに置かれていることが多い。どの場所も人通りがあるだけでなく、そこで働いている人や休憩している人がいたりして、場の雰囲気もそれぞれ違うし、その場所へのピアノのなじみ方もだいぶ違う感じがする。

抒情小曲集はそれぞれの曲で曲調がぜんぜん違うので、それぞれの場にある程度「合う」曲もあり、そういう曲は気軽に弾くことができるけれど、この曲がどこのピアノの場に「合う」かどうか自分の感覚ではわからないような曲もあった。そういう曲は練習をしてはいても、いつどこで弾けるかわからない。なので全曲完遂ができるかどうかもわからないまま、そのとき弾けると思った曲を弾いてきた。

 

弾いたときにツイッターに書いたりもしているけれど、これまでに弾いた曲を手元にリストで記録している。この記事を掲載する時点でこれまでに抒情小曲集全66曲のうちの61曲を弾いた。その記録を載せる。後は追記していこうと思う。

 

 

【 】は集の番号 2022年6月15日以降の初回分を記載

曲名 日付 場所(通称や記号で表している場所もある)

★ 2023年6月16日追記 この1年の途中でピアノの利用ルールが変わって練習利用が不可になったピアノの場があった。そのルール変更後にその場所で弾いた曲もこの記事の掲載時点ではリストに入れていたが、練習利用ができないピアノの場をパブリックピアノと呼べるのか自分には若干の疑問があり、熟考の末、少なくともこのリストからは外すことにし、あらためてそれらの曲を別のピアノの場で弾いてリストアップした。修正箇所の表示は割愛した。

 

【1】

アリエッタ 6/15 ソラリア

ワルツ 12/8 ソラリア

夜警の歌 7/20 ソラリア

妖精の踊り 12/10 M

民謡 12/1 ソラリア

ノルウェーの調べ 11/6 イオン小郡

音楽帳 11/9 ソラリア

祖国の歌 5/17  ソラリア

 

【2】

子守歌 1/9 M

民謡 10/16 JR久留米駅

メロディー 10/8 JR久留米駅(ピアノの設置初日)

ハリング 10/16 JR久留米駅

スプリングダンス 10/19 ソラリア

エレジー 7/4 ソラリア

ワルツ 11/24 ソラリア

カノン 3/2 ソラリア

 

【3】

ちょうちょ 3/2 ソラリア

孤独なさすらい人 3/15 ソラリア

ふるさとで 8/14 イオン小郡

小鳥 3/20 ソラリア

恋の曲 5/17  ソラリア

春に寄す 5/5  荒尾総合文化センター「アラオピアノデー」

 

【4】

即興的なワルツ 11/30 ソラリア

音楽帳 7/3 JR新鳥栖駅

メロディー 9/22 ソラリア

ハリング 4/22  JR久留米駅

メランコリー 1/11 ソラリア

スプリングダンス 1/11 ソラリア

エレジー 11/20 M

 

【5】

羊飼いの少年 11/13 西鉄太宰府駅

ガンガル 11/2 ソラリア

トロルの行進 2/23 JR久留米駅

夜想曲 7/2 イオン小郡

スケルツォ 12/4 JR久留米駅

鐘の音 3/12 JR赤間駅

 

【6】

過ぎ去った日々 7/20 ソラリア

ゲーゼ 12/30 ソラリア

幻影 11/9 ソラリア

秘密 2/9 ソラリア

彼女は踊る 2/19 JR牛津駅

郷愁 11/6 JR新鳥栖駅

 

【7】

風の精 2/1 ソラリア

感謝 9/11 西鉄太宰府駅

フランスのセレナーデ 3/2 ソラリア

小川 2/22 ソラリア

まぼろし 10/27 ソラリア

家路 6/10  S

 

【8】

青春の日々から 5/31  ソラリア

農夫の歌 8/14 イオン小郡

重い心(メランコリー) 3/8 ソラリア

サロン 11/9 ソラリア

バラード風に 9/7 ソラリア

トロルハウゲンの祝婚の日 7/29 ソラリア

 

【9】

船乗りの歌 8/25 西鉄福岡天神駅(ラブピアノ)

おばあさんのメヌエット 11/19 JR久留米駅

あなたのそばに 11/20 M

山の夕暮れ 7/24 JR篠栗駅

ゆりかごの歌 7/20 ソラリア

メランコリックなワルツ 11/30 ソラリア

 

【10】

むかしむかし 9/12 ソラリア

夏の夕べ 6/19 JR田主丸駅 

小さなトロル 2/6 ソラリア

森の静けさ 7/31 西鉄太宰府駅

ハリング 12/15 ソラリア

過去 5/10  ソラリア

余韻 8/31 西鉄福岡天神駅(ラブピアノ)

 

 

こうして弾いてきたそれぞれのときに、そのときのピアノや場の様子、自分がどういう気持ちで臨んだのか、弾いてどうだったのか、そうした思い出がある。そういう意味でもこれをやってきてよかった気がする。

全曲完遂まであと5曲になったけれど、このあとも、いま自分がどこかで弾きたい曲と、ピアノの場のその場その場で自分が感じることとを取り合わせてみながら、弾けると思ったときに弾いていけたらと思っている。

 

今年6月は瀧廉太郎の没後120年でもある。今年2月には瀧の「憾」をピアノスタジオやパブリックピアノで弾いた。そして6月にはできれば大分に出かけてどこかで瀧の作品を弾きたい(場合によってはオカリナで吹きたい)と思っている。

 

***

 

このブログやツイッターでときどき書いてきたように、自分は、有名な作曲家や「優れた」音楽作品・演奏の価値を受け取るにかぎらず、さまざまな人が営んでいるさまざまな音楽にそれ独自の意義・意味を見出していきたい、そしてそれを受け取りたいと思っている。今後はその音楽観をさらに深めたいと思っていて、作曲家単位でものを考えて何かをするということは今後は減らそうと思っている。今年の6月が1つの節目かなと思っている。

グリーグの生誕200年の2043年になったら(そのときもし自分が生きていたら)どう考えるようになっているかわからないけれど、当分は、有名であるとか世間の評価が優れているとかでなく、さまざまな人のさまざまな音楽に出会ったそのときのその出来事をだいじに思いながら、音楽について考えたり書いたりしていきたい。自分でも音楽をしていきながら。その中で、グリーグの音楽や瀧の音楽のどれか、何かに、ひとつひとつ触れていけたらと思う。

瀧廉太郎「憾」作曲から120年(2)〜最近の演奏動画から

 

瀧廉太郎のピアノ曲「憾」が作られてからまもなく120年。前回記事で、「憾」の最近の研究や演奏の動向について少し触れ、その中で自筆譜に基づく演奏の動画を紹介した。

前回記事:瀧廉太郎「憾」作曲から120年(1)〜最近の研究・演奏の動向をまじえて - 或る草の音

私は「憾」はこれからは自筆譜(1903年2月14日付の手稿譜)やそれに基づいた楽譜でもって解釈され演奏されるのがよいと考えている。ただ、過去の版の楽譜で長く弾き慣れた方にはその方がその楽譜とともに育んできた「憾」があり、それを自筆譜が見つかったからといって変えるのも難しい、それほどに音楽として熟していることもきっと多いだろうという気がする。「憾」はそれだけさまざまな方に強く印象を残し、受け入れられ、親しまれてきた楽曲だろうと思う。

それで、自筆譜に(全面的に)準拠しているわけではない演奏も含めて、ネット上で見つけた比較的最近の「憾」演奏動画を少しご紹介したい。

 


前回記事にも取り上げた喜多宏丞先生の、「憾」1903年稿単独での演奏動画。

瀧 廉太郎:憾(うらみ) pf. 喜多 宏丞:Kita, Kosuke - YouTube

 


前田勝則さんの演奏動画。全音版に基づく演奏だけれど一部、自筆譜に書かれている内容を取り入れてお弾きになっている。

憾(滝 廉太郎)Rentaro Taki - Regret - pianomaedaful - YouTube

 


小原孝さんの演奏動画。小原さんは「憾」の自筆譜をめぐる最近の動向をよくご存じでいらっしゃるご様子で、ただこの動画ではご自身がそれまで感じていた「憾」を表現なさっている。そのように、ご自身が大切になさってきた「憾」を弾いていくということも、音楽のなされ方のひとつだと思う。

憾/瀧廉太郎(Bedauernswer / Rentaro Taki)演奏:小原孝 1903年(明治36年)作曲ピアノ作品 #NHKらららクラシック #大分県竹田市 #最後の音に注目 #滝廉太郎 - YouTube

 


ぱるさんの演奏動画。私のホームページを参考にしてくださったとのことで、ありがとうございます。お姿が瀧廉太郎の留学前の、元気だった頃の写真に少し似ていらっしゃるのも印象的でした。

瀧廉太郎作曲 《憾》 - Rentaro Taki Regret(urami) - YouTube

⭐︎ ほかにもどなたか私の過去記事を参考にしていただけているコンテンツ等をお持ちかもしれないですが、ブログ記事はいくつか存じ上げておりますが動画はまだあまり見つけられていません。著作権法的に問題があるような使い方でないかぎりは文句を言ったりはしませんので、おしらせくださるとうれしいです。

 

前回記事では私も「憾」をどこかスタジオのような場所で弾きたい旨のことを書いていたが、家で地道に弾いている。自分個人のことは記事をあらためて書くことにしようと思う。

 

 

 

瀧廉太郎「憾」作曲から120年(1)〜最近の研究・演奏の動向をまじえて

★ この記事を掲載公開した後もこまごま加筆修正しています。大きな変更をしたときはここの位置でおしらせします。

大分県立芸術文化短期大学の名称を誤って書いていましたので修正しました。申し訳ありません。2023年1月29日

 


瀧廉太郎のピアノ曲「憾」の自筆譜が草稿段階のものを含めて大分県竹田市に寄贈されて早や4年になる。完成稿と見られる「憾」自筆譜にはDen 14. Februar. 1903というドイツ語の日付が書かれていて、「1903年2月14日(に)」を意味する。これが完成の日付と考えられるので、今年2023年の2月14日は「憾」の完成から120年ということになる。


自筆譜の所在が明らかになったことで、「憾」の楽曲研究が今後進んでいくことが期待される。このブログでも以前そうした話を記事に書き、そのときに大分県立芸術文化短期大学の喜多宏丞先生が竹田市所蔵の「憾」自筆譜をもとに精力的に「憾」の研究にお取り組みになっていることをご紹介した。

そのときの過去記事:

瀧廉太郎「憾」自筆譜をめぐる研究の動向(1) - 或る草の音

 

一昨年の2021年、その喜多先生が、草稿を含めた「憾」自筆譜の校訂譜を論文として御発表になった。現時点で最も原資料に近い印刷譜であるということになるかと思う。部分的な草稿も、時期が前後する原稿に差し入れて曲の形でまとめられていて、各々のアイデアを楽曲として捉えて演奏できるようにする意欲的な試みでもあると言えそう。

以下のリンクから読むことができる。自筆譜に基づいて「憾」の演奏をなさりたい方、「憾」や瀧廉太郎の楽曲に関心をお持ちの方はぜひお読みになられたらと思う。


瀧廉太郎《憾》:手稿譜に基づく校訂楽譜の作成

喜多宏丞

大分県立芸術文化短期大学リポジトリ

↑リンク先のページで、論文タイトル下のpdfファイルのアイコンがある「59(51-70)   (1.65MB)」というリンクからダウンロードできます  

 

 

それからこちらは「憾」自筆譜がまだ竹田市に寄贈される前、つまりその内容がまだもっぱら、自筆譜のコピーを掲載した『瀧廉太郎 資料集』とそれに基づいたミューズテック版の楽譜で知られていた時期だけれど、ピアニストの河原千尋さんが2018年10月にベルリンで、その自筆譜内容に基づいて「憾」を演奏なさった動画が公開されている。

以前に河原さんの御関係の方からこの演奏や、学会での御発表についてお知らせをいただいていた。今回動画が公開されて、多くの方が河原さんの「憾」演奏を聴けるようになってよかったと思う。「憾」自筆譜に基づいた演奏の動画は喜多先生の動画があるもののまだ数少ないので、ご関心をお持ちの方はぜひご視聴になられたら。


滝 廉太郎「憾」Bedauernswerth  自筆譜に基づいて

滝 廉太郎「憾」Bedauernswerth 自筆譜に基づいて - YouTube

 

 

自分のことを書くと、今度の2月14日に向けて自分も「憾」にひさしぶりに取り組んでいる。その前後ででも、どこかのピアノで弾きたいと思っている。

自分はこの10年くらいパブリックピアノでいろいろな曲を弾いていて、今度の「憾」も気持ちとしてはパブリックピアノで弾きたいのだけれど、今回はスタジオのような場所を借りて弾くかもしれない。

ちなみに瀧廉太郎がこの曲の最終稿を書いた1903年2月当時に住んでいた場所は、現在の大分市中心市街地にあたる。その近くに現在ストリートピアノがあるらしく、そうしたゆかりある場所でどなたか「憾」を演奏なさったらよろしいのではないかと思ったりもしている。

 

作曲家の生誕何年、没後何年ということをあまり意識せずに作品と関わっていきたい気持ちが最近は自分は強かったけれど、いつのまにかこういうふうに関わっていっている。やはり、記念したい気持ちがたしかにあるのはある。

グリーグが今年生誕180年で、昨年の御誕生日から抒情小曲集を少しずつパブリックピアノで弾くということもやっている。今年は、そのようにやっていくことにしようと思う。